片倉館は、大正から昭和の初期に日本における輸出総額の約4割が絹製品であった当時、シルクエンペラーと称された片倉財閥により地域住民に厚生と社交の場を供するため1928年(昭和3年)に竣工され、それを運営する(財)片倉館が1929年(昭和4年)に設立されました。
この写真は昭和初期の建設された頃の写真で、諏訪湖から撮られた写真です。
Googleインドアビュー【片倉館外観】画面をドラッグしてご自由にご覧下さい。
当時の片倉財閥当主、二代
我が国にもぜひそのような地域住民のための施設を提供したいと一族に計り、上諏訪に住民のための温泉、社交、娯楽、文化向上を目的とした片倉館が誕生しました。
特に当時のチェコスロバキア・カルルスバードに在った厚生施設に特に強い関心を覚えたようで自身の日記にも訪問体験を詳しく記し片倉館建設にもそのアイデアが多く採り入れられています。
建物の設計は1897年(明治30年)東京帝國大学(現東京大学)造家学科を卒業、更に5年間同大学院で学んだ森山松之助氏(1869~ 1949)によるものです。
当館は定型的な形式にはあてはめ難い個性的な建物で、強いて言えば1900年前後から30年代にかけて、アメリカ等で発展したゴシックリバイバルまたはロマンティックリバイバルに属すると考えられますが、細部に於いては窓、切妻、レリーフ、ステンドグラス等各時代、各国の様式が巧みに採り入れられ、しかもアンバランスを生じない非凡な設計が施されております。